第十二章─歪みに至るための六つの傷風景─

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それは燃えかすだった。 ヒズミはそれを呆然と眺めていた。 親子が暮らしていた廃墟が周囲の木々をも焦がし、灰になっていた。 野次馬が集まっている。 その声が聞こえる。 「骨が見つからないんだと」 「はぁ。骨まで燃え尽きたのかい。それはそのう……」 「バカ。違うだろ。あの化物を捨てたんだよ」 「どういうこったい?」 「あれと一緒に暮らしてた証拠を全部消して逃げたんだ。あの女に死ぬ度胸はねぇ」 「何でだい?」 「知らねぇのかい。あの女の手首には──」 それ以上はとても聞いていられなかった。 ヒズミはただ呆然と目を見開き、燃え尽きてしまったその家を眺めている。 野次馬がヒズミに心ない言葉を浴びせ、お前のせいだと中傷する。 子供たちが笑いながら投げつける石を一身に受け、ヒズミはピクリとも動かない。 ──ヒズミは、唯一信頼していた母親に捨てられたのだ。 悪いのは誰なのだろうか? 少なくとも、オレにはあの女性が悪いとは思えなかった。 限界だったのだろう。 だがヒズミはどう思ったのだろうか? 「パパ──そうだ、パパを探さなきゃ──」 呪文のようにそんな言葉を繰り返す少年は──
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