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「な──何なんだよこれは!」
見ていられない。
見たくもない。
ヒズミの過去に何があったのか、オレはその骨組みだけを知っていた。
そこにどんどん肉付けされていく。
その肉は──余すことなく腐り果てている。
逃げ出したい。
見ているだけなのに、耐えられない。
地下牢に閉じ込められ、その隅で膝を抱えている少年。
真っ黒だった髪はストレスで多く白が混じってきている。
まだ成人にも達していないどころか、その半分にも満たない子供がだ。
「こんなの……こんなものを見せるな!」
オレはヒズミから目を逸らした。
「いいえ。あなたはこれを見なくてはいけない」
不意に里桜さんが現れる。
オレは耐えきれずに里桜さんを睨み、怒鳴った。
「知るか! こんなもの、オレは──」
言葉が出てこない。
思い返せば、そのぶん顔から血の気が引いていくのが分かる。
「目を逸らしてはいけません」
里桜さんは、言った。
「これから起こることは彼を歪めた六つの傷、その初めの一つ」
「六つの傷……?」
里桜さんは小さく頷き、歌うような静かな声で短く告げた。
「家族に対する価値観の崩壊」
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