第十三章―幾つかの終末―

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「あなたの目的は……復讐?」 飛鳥は恐る恐る尋ねた。 もしそれが事実であれば、もう誰も助からない。 しかし、飛鳥の危惧を他所にあっさりヒズミは首を振った。 「復讐するってんならとっくにしてる。その気になれば今すぐに地上の生命を絶滅させることだってできるんだぜ?」 「――!」 はったりではない。 呼吸ができる、とでも言うような気軽さの発言だった。 「それじゃあ……」 「悪魔を操り、魔神を作り、世界を壊して回る。だが、全滅にはしない。オレがしたのを簡単に纏めるとこのくらいだ」 飛鳥は考えてみたが、まるで検討もつかない。 こうなる前までは、飛鳥にとっては魔法など縁のない代物であったし、興味もあまりなかった。 精々兄である拓海が魔法学校に通っている、くらいの関わりで、知識としては酷く一般的のそれである。 故に、魔術師の中でもとびきり異端なヒズミの考えなど予想すらできない。 「どうすればこの世から争いが消えるか考えたことがあるか?」 「え?」 「この世から争いが消える方法だよ。何か言え」 横暴だった。 飛鳥はため息を吐きそうになったのを寸前で堪え、思考を巡らせた。
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