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   もちろん、その笑顔を支えているのは恵まれた容姿だということも忘れてはならない。ぱっちりとした大きな黒目に、くるりと上を向いた長いまつ毛。グロスを重ねたピンク色の口唇は、ひとめみただけで弾力性に満ちているのがわかる。顔の面積だって、ぶーちゃんの半分くらいだ。まちがいなく美人だろう。 「なぎさ。なぎさも一緒にかんぱいしよー」さっきまで怒っていたはずなのに、風花の表情は驚くほどやわらかくなっていた。ぼくはちらりとなぎさをみる。彼女はぼくの視線に気づかないふりをしながら、こくりとうなずいた。 「じゃあ、瞬たん。かんぱいよろしく」 「なぜ。彼にやらせるといったのは風花のはずだ」  ここに来るまえ、たしかにじゃんけんでそう決めた。ぼくの記憶にまちがいはない。疑うというのなら、きみを証人にしてもいいけれど。
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