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  「彼女だって欲しいんじゃないの」風花が肘でぶーちゃんのわき腹をこづくと、お好み焼きに伸びていた箸の動きがぴたりと止まった。耳の先まで真っ赤にして、おずおずという。 「じゃ、じゃあ、ふーかがなってよ」  冗談のつもりなのだろうか。ぶーちゃんの本意は知らないけれど、風花はげらげらと笑いながらいう。「そうそう、そんな感じ」ぼくは相変わらずちびちびとグラスに口をつけながら、ふたりの表情を注意深く観察していた。 「ぶーちゃんにはいいところがいっぱいあるんだから」  そう切り出したのはなぎさだった。エプロンを外しながら、さきほどまで風花が座っていた席にぴょんと飛び乗る。つまり、ぼくのとなり。
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