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  「友だちでもいい。そういったのはきみたちだ。きみたちの目にどう映ろうと、ぼくはあかねを愛している。傷ついてもかまわない。そんなぼくをみているのがつらいのなら、ぼくとの関係を断てばいい。赤の他人に戻ればいい」  冷酷に感じるだろうが、ぼくは表情ひとつ変えずにぴしりといった。風花がひくひくと鼻孔をふくらませ、声を震わせながら泣き叫ぶ。 「いや。それだけはいや」きれいにそろえられた前髪を振り乱し、彼女はすがるようにいう。 「おねがい。捨てないでよ。あたし、ひとりぼっちになっちゃう。瞬に捨てられたら、あたし、あたし」  一途で、まっすぐで、胸が痛くなるほどにけなげで純粋。風花は本来こういう人間なのだ。化粧を覚え、ブランド品を身につけ、流行の髪型やファッションを追ってみたりと、妙に背伸びをしたがるけれど、それは好きな男に自分を少しでもよくみせたいという女心の表れだ。だからこそ、期待させてはならない。
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