プロローグ

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   レールの色やデザインは個人によって異なるが、形状にほとんど差異はない。窓がついた無骨なコンテナが空を飛んでいると思えばいい。 「解放率は」ぼくはきみにきいた。きみはふるふるとかぶりを振るだけで、静かに目を閉じる。変化はない。いつもの反応からそう判断する。  レールの先端部に座り込み、前方にじっと目を凝らす彼女こそ、ぼくがずっと追い続けている目標であり、あこがれでもある生命体だった。  ショコレーション・ディマ・ヴェルデ。  チーム「キャンザルドア」のリーダーにして、解放率二十七パーセントを誇る驚異の実力者だ。ぼくは彼女の生きざまをずっとみてきた。つらいことがあっても、苦しいことがあっても、彼女は絶対に下を向かずに走り続けた。そんな勇姿に、幼かったぼくは魅了されたのだ。
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