#旅立ち

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『今年は伝説の勇者―カイウス様が世界をお救いになって100年です!再び勇者様が見えることを願って、世界から勇者の卵を呼び集めます!』 全世界を巻き込んだ一大イベントのチラシは、辺鄙な田舎である私の村にも届いていた。高そうなキラキラした紙に躍る文字は、血の気の多い若者が食いつきそうなものだ。生憎、我が家にそういったタイプの人間はいないので、チラシをそのままに皿洗いをすることにする。 私は生まれてこの方村からほとんど出たことがない。たまに少し大きな街に買い物に行くぐらいで、それも月に数回しかなかった。隣に住むマギーのように、都会に憧れもしないし、田舎を嫌ってもいない。むしろ、この野暮ったい雰囲気が肌に合うくらいだ。 「アリサ!!見た!?」 案の定、マギーがドンドンと戸を叩く音がする。酷く興奮した彼女はチラシを握りしめ、「村から一人ずつ選出ですって!!最高だわ!女勇者なら数も少ないし、注目も集まるし!」と息を巻いた。
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