彼の名前

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男なんてさらさら興味がなかった。 興味あったのは女だけだったし、 あの快感をしったら 他に見向きもしなくない程だった。 友達で男と付き合ってる奴が 何人かいるけど、 全員声を揃えて 『好きになったのがたまたま男だったんだ』 それが俺には 言い訳しか聞こえなかった。 男を見て ドキッとした事もなかったし、 そいつを抱きたいとか、 抱かれたいとか もちろんなかったし。 それが普通なんだろうけど。 ―――でもコイツには。 不覚にも ドキッとした自分がいた。 誰も引き寄せない雰囲気が。 「ほら、お前達教室戻れ。チョンはまだ案内があるから着いてこいよ」 そう言って ユノは俺の前を素通りして行った。 ユノの匂いは男臭くなくて 爽やかな香水の匂いがした。 何故か鼻につく。 「何だよ、澄まし顔なんかしてよ!なぁ、ジェジュン!」 「あ・・・あぁ」 それから午前の授業をサボってから 教室に行くとユノの姿があった。 同じクラスになるなんて・・・。 「こら!キム!パク!早く座りなさい!」 そう言われて席につく。 ユノとは距離が遠すぎて 話しもできない程だった。 ユノの背中を見ると 肩幅が大きくて男って感じだった。 「何考えてんだ、俺」 本当にオカシい。 こんな気持ち、 生まれて初めての経験で。 これを何と呼ぶのかさえも わからないぐらいで―――。 でもユノから 目を反らせない自分がいた。
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