彼の名前

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――――――ウザい。 何が挨拶だ。 そんなの過ごしてけば 名前覚えるだろ。 にしても、 屋上の2人は問題児か? 特に髪の毛サラサラの方、 顔綺麗だったな。 きっと誰かに お金もらってるな、ありゃ。 早く帰りてぇ。夏実が待ってる。 「なぁ」 俺は思い切ってユノに声をかけた。 「俺、ジェジュンで、こいつユチョン。今から31行くんだけど行か―――」 彼は無言で立ち上がって教室から出て行った。 「何だよ、あいつ!1回しめようぜ!ジェジュン」 「・・・・・」 俺の事嫌いなのかな?第1印象きっと悪かったもんな―――。 「夏実!」 「ユノ兄たーん」 「今日もいっぱい遊んだか?」 「あのね、てんてい(先生)がおりがみくれたの!」 「良かったな。あ、夏実の保護者のチョンです」 「あ、夏実チャンの。カッコイイお兄ちゃんね」 「うんっ♪ユノ兄とけっこんするんだぁ」 「・・・夏実。あ、明日も宜しくお願いします」 ペコっと 頭を下げると夏実を肩車した。 「兄たんはがっこーたのちかった?」 「まぁな。でも夏実といる方が楽しいよ」 「夏もー♪」 ―――ガシャンッ。 家の玄関を開けたら 鳴り響いたガラスの割れる音と共に罵声。 「ッ・・・夏、ちょっとここにいろ?」 ユノは夏実を玄関に座らせ リビングに入って行った。 ドアを開けた瞬間ガラスの破片が 飛んできてユノの頬が切れた。 「いい加減にしろよ!」 「ユノ・・・」 いつからおかしくなったのだろう。 夏実が生まれてから? それまでは平和だったのに。 ―――お父さん、リストラされたの。 そう言われてから1年。 母さんは毎日傷だらけでそれでも 「愛してるから」 と親父を追い出さない。 今だって働かない癖に 酒ばっかり飲んで・・・。 「なぁ、仕事探せよ!俺はまだしもまだ夏実がいるだろ!」 「何をわかった口聞いてんだ!」 そう言って俺と親父は殴り合う。 お互い血が飛んで 破片が突き刺さって――。 「目醒ませよ」 親父の方が息が切れる。 夏実を迎えに玄関へ行ったら 夏実がいなかった。 家中探したけど見つからなくて 急いで家を出た。
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