彼の名前

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その時1人の男と夏実が手を繋いで歩いて来た。 「ユノ兄たーん♪」 夏実がこっちに向かって手を振る隣はどっかで見た顔だった。 ―――キム?・・・ジェジュン? 「どうしたんだよ!その顔!」 俺の頬に手を触れてきて、すぐ振り払った。 「夏実、何処行ってたんだよ」 「お外出て歩いてたらお兄たんとぶつかって・・・アイチュ買ってくれたの♪」 「・・・そうか。良かった。悪かったな、キム」 「いや、別に」 「気をつけて帰れよ」 「お兄たん、またね」 「う・・・うん」 ―――パタン。 「ユチョン、また明日な」 「おう」 別れ道でわかれた。 31のアイスは買わなかった。 ユチョンの好きな チョコミントがなかったから。 ユチョンは半ギレで 店に文句を言って帰った。 ―――ポフッ。 何か足にぶつかって下を見ると 小さな女の子だった。 周りを見ると親もいないし ・・・迷子? 「お嬢ちゃん名前は?」 「夏実」 「夏実チャン、家どっち?」 「あっち」 簡単に来た方向に指をさされて 心配だから家まで着いてく事にした。 近くのコンビニでアイスを買って あげて手を繋いで家に向かった。 幼稚園の事やお兄さんの事を べらべら喋ってくれて 笑いが堪えないぐらいだった。 歩いてると男の人が見えて 夏が「ユノ兄たーん」と叫んだ。 手を掴んだままぐいぐい 引っ張られながら歩くとそこには―― ―――ユノ。 夏が手を離してくれて良かったぐらい 心臓がバクバク言い始めて ユノの顔を見ると 朝とは違って傷だらけだった。 気になって無意識に 頬に手を添えると振り払われて 少し胸が痛くなった。 でも「気をつけて帰れよ」って 嘘でも心配してくれて本当に嬉しかった。 心臓が千切れそうな程 ユノが膨らんでいったんだ。
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