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姫様がキャロルだけを特別視しているのならば、もっと強くものを言える。
でも、姫様は誰にでもこうなのだ。
もちろん私に対しても、だ。
だから私は、こうやって姫様に言われてしまうと、なにも言い返せなくなってしまう。
「それにほら、最近ではお皿を5枚持たせてもらえるようになったみたいではないですか。それは素晴らしい進歩です」
「はわっ、り……リリィ様!」
「キャロルがそう言ったのですか……?」
「はい。もう自信満々に」
「はあ……」
ため息交じりにキャロルの方に視線を向けてみると、なにやら顔の前で手を合わせ、私になにかを伝えようとしている。
「そうですね。そうやって、着々と進歩をして行ってもらいたいものです」
確かに、キャロルにお皿を5枚持たせたことがある。
だけどそれはキャロルがあまりにも運ばせてくださいとお願いしてきたものであり、半ばしかながなくという感じであった。
そしてキャロルは、自分で任せろと言ったにも関わらず、途中でつまずき、持っていたお皿を全て使い物にならなくしてしまったのだ。
本人が姫様にどのように言ったのかわからないが、姫様がそのことに喜んでいる今、わざわざ水を差す必要もない。
「はいっ、キャロルならきっとあっという間ですよ」
「が、頑張ります!」
こうやって、彼女の仕事に対する意欲があがるのなら、それはそれでいいことかもしれない。
「それでは姫様。
ただいま昼食の準備をいたしますので、お座りになってお待ちください」
そう言いながら、ドアノブに手をかけ、ゆっくりと開ける。
部屋の中には大きな長方形のテーブルが1つ置いてあり、その周りには均等に椅子が並べられている。
本来ならば、大人数でテーブルを囲み、食事をとる部屋なのだが、最近では皆が外に出向いていてしまって、姫様が一人で食事をとられることが多い。
そんな中なのにもかかわらず、悲しい顔をひとつも見せない姫様にお仕えできることを、私は誇らしく思わなかったことわない。
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