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目の前の悪魔は、私に囁く。
「いずれ、その女は自分の本能のままに動く醜い存在になる」
黒い煙のようにぼやけ、霞む悪魔の姿。
「これは運命だ。
逃れることなどできはしない」
二重にも三重のも重なる声が、頭の中に直接響いてくる。
「そして貴様は、変わり果てた彼女を殺さなければならない」
悪魔はにやりと笑う。
「その為だけに、私は貴様を生かす。
何度も、何度も、何度もだ」
黒いもやが私たちの体を包んでいく。
「貴様はこの先、そのままの姿で、未来永劫、愛した女を殺し続けるがいい!」
悪魔の高笑いが、脳を揺らし、キーンという耳鳴りとともに激痛を走らせる。
「666回だ。666回その女を殺せ。
それが呪いの解放条件だ」
その言葉を最後に、私の意識は糸のようにぷつりと切れた。
今この時、私は人では無くなったのだ。
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