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その間アーシアの方はといえば、用意された料理を3人分お皿にお皿に綺麗に盛り付け、それをテーブルの上へと着々と乗せていく。
スプーンやフォークを並べ終わった私に、アーシアは「あとは私がやります。キャロルは姫様とお話でもして待っていてください」と言ってくれたのだけど、どーしてもリリィ様に良いところを見せたい私は、なんとかアーシアにわがままを言ってこうしてスープだけ運ばしてもらっている。
最初アーシアはサラダを私に渡してくれたんだけど、それはかっこ悪いと無理を言ってスープに変えて貰ったのだ。
でも今考えると、スープにしたのは失敗だったかもしれない。
やっぱり、素直にサラダにしておけばよかったのかも……。
リリィ様のスープだということだけでもこぼすわけにはいかないのに、アーシアが私に任せてくれたという事実が、さらに使命感を燃やす。
自分から言い出さないと任せてもらえないのは前からだったが、最初は言っても「ダメです」の一点張りだった。
けど最近では、私の押しに負けるてくれて難易度の高い仕事でも任せてもらえるようになってきた。
これは、だんだんと信頼されてきているのだと、そう自信をもって良いはず。
「できっこない」と思うより「できそうな気がする」そう思え、ってウォルター伯爵様が教えてくれたのを思い出す。
日々、私はちゃんと進歩している!
だから大丈夫だ。
「よしっ……」
もう食堂は目前。
あと1歩踏み出せば、リリィ様の姿が見えてくる。
ゴールまではもうあとちょっとだ。
「キャロルー、もう少しですよ」
リリィ様っ!
「ぅぅっ……」
……と、あぶないあぶない。
ここで走ってしまったら、今までの苦労が水の泡になってしまうではないか。
リリィ様の元へ駆け寄りたい気持ちはいっぱいいっぱいだけど、でもここは我慢して、ゆっくり歩かなきゃ。
テーブルの上には、アーシアが運んだお皿がたくさん並んでいる。
でも、リリィ様の場所にだけ、1品足りない。
私がこれを無事に運ぶことができれば、リリィ様の前にも、ずべての料理が並ぶわけだ。
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