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ここのところ毎日、私の夢に出てくる少女だ。
顔は私とそっくりな少女。
だけど私とはまったく違う雰囲気を醸し出す少女。
そんな少女がなにをする夢なのかというと、そんな大したものなんかではなく、ただただ彼女が過ごす日常の風景を覗いている。
そんな面白味もない夢だ。
やっぱり夢だからなのか、名前やはっきりした設定は覚えていない。
私にそっくりな少女が、平和な毎日を楽しく過ごしている。それだけだ。
どうしてそんな夢を私は毎日のように見ているのだろうか。
もしかしたら、私は心のどこかで、別の自分を望んでいるとでもいうのだろうか。
「くすっ」
そんなくだらない考えに呆れ、思わず笑みがこぼれてしまう。
馬鹿馬鹿しい。
どうして私がお姫様なんかに……。
お姫……様?
夢の中の私は、お姫様。
騎士やメイドに囲まれ、とても愛され、みんなから可愛がられて……。
どうしてだろう。
考えれば考えるほど、頭の中にはっきりとしたモノが浮かんでくる。
夢という幻のはずなのに、私がそれを知っているかのような……そう記憶。
これは私の記憶だというのだろうか。
……そんなわけがあるわけない。
私がもしお姫様だとしたら、こんなに日差しを受けながら、退屈な授業を受けている意味がわからない。
本当に馬鹿馬鹿しい。
いつから私はこんなロマンチストな少女になったというのだ。
きっと今は、日差しのせいで頭がぼーっとしているだけだ。
そうに決まっている。
真夏に窓側の席はやめておいた方がいい。
そう改めて実感した。
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