杏雫の気持ち

8/15

635人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
「う~ん。」 俺は、一人部屋で思い悩んでいた。 なぜなら「とびっきりお洒落してきてね!それから、思いっきり楽しませてね♪」と、杏雫に言われたからだ。 お洒落と言われても、俺が持っている服は全部似たり寄ったりだし、何よりも、杏雫を思いっきり楽しませてあげられる自信がない…… 「お兄ちゃん、何を唸ってるの?」 何の前触れもなく、真奈が部屋に入ってきた。 真奈ちゃん、俺もお年頃何ですよ? 「真奈、ノックくらいしろよな?」 「はいはい、でも、廊下まで唸り声が聞こえたから気になってさ。」 「……ちょっと、悩んでんだよ。」 「何を?」 真奈になら相談してもいいか。 よくファッション雑誌とか読んでるし、服の事とか詳しそうだもんな。 「デートに行くから、おしゃれしてこいって言われたんだけど、何着てけばいいのかわかんなくてよ。」 「お兄ちゃんが持ってる服なんか大して代わり映えしないでしょ?どれだって一緒だよ。」 「でもさぁ…」 「はぁ~。」 真奈は、溜め息を付きながらも、俺の服を見繕ってくれた。 「これなら結構イケてると思うよ?」 「さ、サンキュー!」 俺は、真奈に選んでもらった服に着替えながら、もう一つの疑問をぶつけてみた。 「なぁ、女の子ってデートでどんな事したいんだ?」
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

635人が本棚に入れています
本棚に追加