杏雫の気持ち

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あの後も俺は、杏雫にいろんな服に着替えされられた。 ぶっちゃけ、これじゃあデートに来た彼氏って言うより、お姉ちゃんと服を買いに来た弟って感じだ。 「じゃあ、次はこれ!」 「あ、おぅ……なぁ杏雫。」 「何?」 「ちょっと……」 「えっ?何!?」 俺は、杏雫の手を引いて、試着室に連れ込んだ。 とりあえず、弟的な立ち位置から脱出しなきゃな。 俺は、杏雫が持っていた服を脇にあったハンガーにかけ、杏雫をやさしく抱きしめた。 杏雫は、一瞬ビクッと震えたのが伝わってきたが、すぐに落ち着いて抱きしめ返してくれた。 「我慢、出来なくなったの?」 「いや、何か彼氏っていうより弟って感じだったから、なんか嫌でさ。彼氏っぽい事のひとつでもしてみようかと……」 「ぷっ!そんなの心配しなくていいのに。勇也は勇也のままでいいんだよ。どんな勇也もあたしは大好きだから。」 「……サンキュ。」 それから俺と杏雫は、店員さんに注意されるまで抱きしめ合い続けた。
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