杏雫の価値

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「で、杏雫は何時ころ来たわけ?」 「7時半くらい。ちょうどお父さんとお母さんと入れ違いだったかな。」 「ふぅ~ん。」 真奈はいつも早起きなので、今日家で何があったのか知っていると思い、とりあえず杏雫がいつ家に来たのか聞いてみた。 「それで、お兄ちゃんのご飯がまだだってお母さんが言ったら、杏雫ちゃんが『あたしが作ります!』って言って、今に至るって感じ。」 「なるほどな。つか、杏雫って料理できんのか?」 「お兄ちゃんのそういうとこ、どうかと思うよ?自分の彼女の事なんだから、もっと興味もちなよ?」 確かにそうかもしれない……とは思えなかった。 今まで杏雫の料理を口にする機会は無かったし、学校の調理実習だって、そんなにまじまじと杏雫を見るほど余裕はなかった。 つまり、俺がそういうことを知らなくて当然…… 「とか思ってないよね?」 「おわっ!読心術!?」 「お兄ちゃんはすぐに顔に出るから解るだけだよ。」 「あっそ。」 真奈って、やさしい時と厳しい時の差が激しすぎると思うんだよなぁ。 「2人とも~!ご飯できたよぉ~!」 「あ!はぁ~い!」 杏雫の呼びかけに、何故が真奈が元気よく答えていた。 何故って問うまでもなく、これは真奈も一緒に飯を食べるってことだろう。 「お前も杏雫の飯食うんじゃねえか。」 「……悪いの?」 「いえ、別に。」 真奈の後ろに般若が見えた。 そんなに怒んなくてもいいじゃん……
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