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「それじゃあ、勇也と杏雫の高校受験合格を祝って……」
『かんぱ~いっ!』
その日の夜、俺の家で、神原家と井上家合同の宴会が開かれた。
昔から両親とも仲が良く、事あるごとにこうやって飲み会を開いている。
今日は、俺と杏雫のお祝いということになっているが、多分親父たちが飲みたいだけだと思う。
「お兄ちゃんよかったね。高校も杏雫ちゃんと一緒で♪」
「からかうなよ。」
「でも、嬉しいでしょ?」
「まぁな。」
俺の隣でジュースを飲みながら小声で話しかけてきたのは、『真奈』俺の一つ下の妹だ。
杏雫の事が好きって話をしたことがあるわけじゃないんだが、いつの間にか真奈にはばれてしまっていた。
「ところで杏雫ちゃん?」
「はい?」
「そろそろ孫の顔が見たいんだけどなぁ~。」
「……」
お袋が、アホナ発言を俺の体面にいる杏雫にぶつけながら、俺と杏雫を交互に見ていた。
「あたし達まだ15歳ですよ?早すぎますって♪」
杏雫はいつも、この話を振られたらこんな感じの発言で受け流す。
ただ、早すぎるというだけで、絶対に否定はしない。
「お前、俺のことどう思ってる?」なんて聞ければいいのだが、俺にそんな度胸は無い……
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