杏雫の価値

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「さっき言ったよね?杏雫ちゃんの声聞いてどう思った?って。」 「あ、あぁ。」 真奈もどっかに座ってから話し始めるのかと思っていたんだが、俺の対面に立ったまま、なんの前触れも無く話し始めた。 いつもは可愛い真奈だが、今日はぶっちゃけ怖いな…… 「さっきの質問、答えてあげる。」 「別に嫌なら無理に答えなくていいぜ?」 「別に嫌じゃないよ。恥ずかしかっただけ。正直言って、杏雫ちゃん、羨ましかった。」 羨ましかった? 何それ? 「お兄ちゃん、私の事大事にしてくれてるのはわかってるんだけど、杏雫ちゃんは、私よりずっと大事にされてるんだなぁって思ってさ。」 「別にそんな…」 「だったら、私を抱ける?」 「……」 「ほら、やっぱり杏雫ちゃんは特別なんだ。」 なんか、今日の真奈は怖いだけじゃなくておかしい。 杏雫が特別だって事くらい、前からわかってただろうに。 つぅか…… 「お前、もし俺が抱けるって答えたらどうするつもりだったんだよ?」 さっきの会話で、これだけが引っかかった。 仮に抱けるって答えたとしても、真奈の方が嫌なんじゃないだろうか? 「クスッ♪お兄ちゃんが抱いてくれるなら、私は喜んで受け入れるよ?」 「!」 何、言ってんだ?
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