杏雫の価値

19/23

635人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
杏雫とこれからの事を話そうと思っていたら、何の前触れもなく部屋のドアが開いた。 「やっぱり。」 「真奈!?」 入って来たのは、普段と違って暗~い目をした真奈だった。 さっきの話の後なら、なんで真奈がそんな目をしているのか理解できる。 ベッドの上で俺と杏雫が抱き合っている光景、見方によっては、これから行為を行うようにも見えるだろう。 「杏雫ちゃん。」 「何?」 「その場所変わって。」 「嫌。勇也はあたしのだもん。」 「あたしの気持ち知ってたくせに。」 「お互い様だもん。」 全然話が進まない。 つか、お互いの気持ちをぶつけるのは大変結構なんだが、俺の意見は加味してくれないのかな? 「勇也は、あたしの!」 「私のだもん!」 「一回落ち着けお前ら。」 俺が口を挟んだ瞬間、真奈と杏雫がキッとこちらを睨んだ。 すっげぇ怖いんですけど…… 「「勇也(お兄ちゃん)はどっちが好きなの!?」」 「え、あ……」 こう来ることは全く予想できなかった。 俺、アホすぎる……
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

635人が本棚に入れています
本棚に追加