最悪のスタート

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一通りの行為を終えた後、杏雫はすがるように俺に抱きついてきた。 「勇也、まだ?」 「……なにが?」 「まだ、決まらないの?」 「だから何が?」 「……あたしと真奈ちゃんどっちがいいの?」 いきなり…… 正直舐めてた。 もっとゆっくりでいいやって思ってた。 やっぱり、待たされる側はそういうわけにもいかないよな…… 「ねぇ勇也、あたしを選んでくれたら、前より優しくするし、勇也がしてほしいこといっぱいしてあげるよ?」 「別にそんなのいらねぇよ。俺は、今の杏雫が好きだ。」 「じゃあ、あたしと付き合ってよ。」 「でも、よ……」 「真奈ちゃんが好き?」 「……好きかな。」 「そ……今日は、帰るね。」 そう言って、杏雫は部屋を出て行った。 俺の気のせいじゃなければ、杏雫の目から涙が零れていた……
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