最悪のスタート

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杏雫が帰った後、俺はなんとなく昔のことを思い出していた。 杏雫と初めて会った日のことを…… …… 5歳の頃、俺が自分の部屋でゲームをしていたら、お母さんに手を引かれて肩くらいまで髪を伸ばした女の子が家に来たんだっけ…… 「勇也、隣の家の杏雫ちゃんよ。仲良くしなさいね!」 それだけ言い残して、母さんは杏雫の母さんと一緒にリビングに行ってしまった。 ……いきなり二人っきりですかっ!? 「えっとぉ、俺、勇也よろしく。」 「井上、杏雫、です。よろしくお願いします。」 この頃の杏雫は、今と違ってものすごくおとなしい子だったよな。 まぁ、杏雫が今みたいに勝気になったのは俺のせいなんだけどな。 「あの!」 「な、なに!?」 「いきなり来て、ごめんなさい!あたし、友達がいないから、ママから勇也君の話聞いた瞬間会いたくなっちゃって……」 「そ、そうなんだ。」 今の杏雫からまったく想像できないような子だったっけ。 でも、今同様、すごく可愛い子だったな……
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