最悪のスタート

20/25
前へ
/162ページ
次へ
「うぅ~難しいよぉ。」 「だから言ったじゃん。」 「だって、勇也君が簡単そうにしてたから、あたしにもできるかなぁって思って……」 俺、少し馬鹿にされたよな? ガキのころはわかんなかったけど、今思うと明らかに馬鹿にされてたよな。 「ゲーム、つまんない。」 「まぁ、杏雫ちゃんはへたくそだからな。」 「あたしのこと馬鹿にして……」 「あ、いや!初めてなんだからしょうがないって!」 「……グスッ」 「ちょっ!泣くなっての!」 ほんと、涙腺ゆるすぎ。 この時は、子供ながらに困ったんだっけ…… 「あたし、泣き虫なの……グスッ」 「見ればわかる。」 「泣き虫、嫌い?」 「まぁ、正直好きではないな。」 「じゃぁ、もう泣かない。」 そう言って、案雫はピタリと泣き止んだ。 この時からだったな。 杏雫が泣かなくなったのは……
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

635人が本棚に入れています
本棚に追加