最悪のスタート

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杏雫が部屋に来た後、俺は懐かしのゲーム機の電源を入れ、ゲームをスタートさせた。 「なんで、いきなりこんな古いゲームしようと思ったの?」 「昔のこと考えててさ、なんとなく。」 「昔って、そのぉ、あたしが、初めてこの部屋に来たときのこと?」 杏雫は、かなり恐る恐るって感じで質問してきた。 違ったらどうしようっていう不安の現れなんだろうな。 まぁ、杏雫が不安なら、俺がなんとかしなきゃだよな。 「お前が、母さんに連れられて、俺の部屋に来た時のこと、考えてたんだ。泣き虫杏雫のことを。」 「そんな言い方しなくたっていいじゃん!第一!その日以来、あたしは勇也の前で泣いてないよ!?」 「その言い方だと、ほかの場所で泣いてたみたいに聞こえんぞ?」 「~~!意地悪!」 そう言って杏雫は、ぷいっと顔をそらしてしまった。 意地悪、か。 知ってるよ、だから、杏雫にも真奈にも、いっぱい辛い思いさせちゃったんだもんな……
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