635人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は、一緒にやろうって意味で誘ったのだが、杏雫は、昔と同じように俺の脇でじ~っと画面を見ているだけだった。
「見てるだけじゃ退屈じゃないか?」
「大丈夫。勇也がゲームしてるの見るの好きだから。」
「そっか。」
「好きな人が何かしてるの見るのって楽しくない?」
「まぁ、な。」
好きな人って。
面と向かって言われるとめちゃ゚ちゃはずいんですけど……
「ねぇ勇也。」
「ん?」
「あたしが3回目に来たときの約束覚えてる?」
「約束?」
3回目って、杏雫がここに来た3回目ってことか?
正直、あんまり細かいことは覚えてないんだよなぁ……
「……もしかして、覚えてないの?」
「あ、いや……昔のことだったから。」
「……そうだよね。10年くらい前のことだもんね。うん、なんか一方的にごめんね?」
「……」
杏雫の目から、大粒の涙が零れていた。
俺の前じゃ泣いてないって言ってたけど、今日だけで2回泣いてるし。
ていうか、杏雫が泣くほどの約束ってなんだ?
最初のコメントを投稿しよう!