最悪のスタート

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俺は、一緒にやろうって意味で誘ったのだが、杏雫は、昔と同じように俺の脇でじ~っと画面を見ているだけだった。 「見てるだけじゃ退屈じゃないか?」 「大丈夫。勇也がゲームしてるの見るの好きだから。」 「そっか。」 「好きな人が何かしてるの見るのって楽しくない?」 「まぁ、な。」 好きな人って。 面と向かって言われるとめちゃ゚ちゃはずいんですけど…… 「ねぇ勇也。」 「ん?」 「あたしが3回目に来たときの約束覚えてる?」 「約束?」 3回目って、杏雫がここに来た3回目ってことか? 正直、あんまり細かいことは覚えてないんだよなぁ…… 「……もしかして、覚えてないの?」 「あ、いや……昔のことだったから。」 「……そうだよね。10年くらい前のことだもんね。うん、なんか一方的にごめんね?」 「……」 杏雫の目から、大粒の涙が零れていた。 俺の前じゃ泣いてないって言ってたけど、今日だけで2回泣いてるし。 ていうか、杏雫が泣くほどの約束ってなんだ?
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