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家に着くと、自分の孤独に気づいた。
早くに両親と姉を亡くし、義人の家に養子に貰われたが、不幸にも義人の家族も…僕が養子に貰われた2年後に亡くなってしまった。
つまり、今は義人と2人暮らしということになる。
僕は義人をひたすら待った。
「おい!おーい湊ー!起きろー!」
「ん?うぅん…ああ義人…あれ僕寝てたの?」
「ああ、ぐっすりとな?」
どうやら僕は机に伏して寝ていたらしい。
まだ眠気が覚めなくて、ぼーっとした目で義人を見た。
義人の片手には、いつものように袋いっぱいのあさりがぶら下がっていた。
「またあさり…?」
「おう、スーパーで安売りしてた。」
「いや…だからいつも言ってるけど……海に何しに行ってるんだよ……」
呆れたように肩を落とす僕を尻目に、義人はあさりを調理し始めた。
そして、あさりを茹でる段階で、先程まで黙っていた義人が急に背を向けたまま話し始めた。
「俺さ‥海が好きなんだ。漁の知識なんて無くていい…船と、海に出たいって気持ち、それだけありゃ充分だ。」
僕は拳を強く握りしめ、義人から顔をそらした。
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