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「………俺は諦めない!由香は生きてるんだよ!今も…こうしている今も俺を待ってるんだよ!」
その言葉を投げ捨て、家を飛び出した義人を、僕は追いかけることができなかった。
ドアの外では、闇の中で波の音が怪しく聞こえた。
その音が、今まで波に飲まれ死んでいった者達の助けを求める声に聞こえ、僕はその場を動けずにいた。
あさりを茹でている鍋から水が溢れ出し、音を立てている。
しかし僕は、ただ闇の中から聞こえる、悲痛の叫びを聞いていた。
この叫びの中には、僕の家族や、義人の家族、由香ちゃん…彼等の叫びは聞こえているだろうか…義人はこの叫びを、聞いているだろうか。
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