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「……ふーん」
そう言うと、村瀬は身体を捩って俺から離れると、俺の方を見ることなく歩きだした
「えっ、ちょっ、村瀬!?」
いきなり歩いていってしまう村瀬に慌てて声を掛ける
すると村瀬は真っすぐ前を向いたまま、はっきり俺に言った
「…お前が楽しそうに笑ってるの見るとイライラする」
「…………えっ?」
まさに頭を鈍器で殴られたような衝撃だった
友達に、まして1番仲の良いやつにそんなことを言われるなんて思ってもみなかった
村瀬はその言葉だけ残し、1回も俺の方を見ることなく歩いていった
残された俺はというと、頭の中で村瀬の言葉が何回も再生され、そのたびに胸をギュウッと捕まれる感覚に囚われていた
下に俯き、手を力強く握る
「…………村瀬」
俺の呟きは誰もいない廊下に少し響いて消えていった…
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