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ひよっこ陽多
それは村瀬が俺を馬鹿にして呼ぶときに使う呼び名だ
これには2つの嫌味が込められていて、1つ目はよく俺が愛称で呼ばれる「ひな」をいじったもの
そしてもう1つの嫌味は………
「今年こと俺に勝てるといいなぁ?あっ、でも無理か。だって陽多は半人前のひよっこだもんなー?」
勉強などで決して村瀬に勝てない俺を馬鹿にするという意味だ
「…村瀬、その呼び方するなって言ったよな?それにな…今年こそ!俺は絶対お前に勝つ…!!!」
怒りに震えつつも、俺は村瀬を指差しながら大きな声で宣言する
今年こそは参りましたって言わせてやる!!
村瀬はそんな俺を見て鼻で笑うと、「せいぜい努力しろよ」と嫌味を残して校舎に入っていった
あぁ…あんな嫌なやつと今年も同じクラスなんて…
村瀬がいなくなったのを見届けてうな垂れていると、葵が苦笑いのような表情で「陽多、お前難儀なやつやなぁ…」と静かに俺の肩を叩いていた
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