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危機一髪。
裸にロングコートの俺は今、人気の無い細い裏路地を歩いている。
この格好で表を堂々と歩ける程、俺の心臓は頑丈じゃない。
今更だが裸足だし、不自然過ぎる。
裏路地を歩く俺の顔はにやけている。先に見た美しい女神の光景が頭に残っていた。
「ま、あれだ。向こうからしても悪い光景じゃなかったはずだ……うん」
人よりも背が高く、顔も自分で言うのも何だが悪くない。体も苦境を生き延びる為に鍛えている。
「うんうん」
まさに自己保身思考。一人で頷きながら歩く俺だったが、不覚にも前を見ていなかった。
「っと」
考え事をして壁にぶつかるとは古典的な……。
「やぁ、ミスター・ゲオルギ。随分、嬉しそうだねぇ」
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