1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの人気持ち悪い」 中間の国語のテスト返し中。 クラスのざわめきの中、 私の耳にやけにはっきり届いた 言葉。 もちろん“あの人”だけじゃ 誰を指してるのか分からない。 でも、なぜか気になった私は、 声がした方向の後ろに少し振り返った。 テスト返しがすんだ友達を 探すフリをして。 「……でさ、あの人が……で…」 後ろに少し振り返ったものの、 あまりよく聞こえない。 盗み聞きは良くないだろうし、 テスト返しが終わってそうな友達を真面目に探そう。 そう考えた瞬間、 「えっ!?」 という声と共に“あの人気持ち悪い”と言った人たちであろう 何人かが、一斉に私の方に振り向いた。 その中の2、3人と目があった。 ほんの一瞬、私とその人達の間の空気が固まる。 そう感じたのも束の間、 その人達はまた話を始めていた。 ただ1つおかしいのは、 私をチラチラ見ながら話してること。 なんだか気まずくなった私は、 後ろに向いた姿勢を前にきちんと直した。 「やだー、ありえない」 「気持ち悪ー!」 嫌悪感たっぷりの声と共に クスクス笑い声が聞こえてくる。 その瞬間、 私の目の前がぼやけた。
最初のコメントを投稿しよう!