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毎日四十分かけ、電車と徒歩で学校に来、朝のホームルームが始まるのを机に伏せて寝て待つのが相沢和輝の日課だ。
「おい、和輝聞いたか?」
今日はそんな日課を自転車で十分の水野誠に邪魔をされた。
「なんだよ。」
和輝は顔を伏せたまま無愛想に答えた。
「おいおい、朝から元気ないなあ。」
誠は呆れたような口調で、パンと筆箱しか入っていない鞄を机の横に捨て置き、和輝の前の席に座った。
「誰のせいだよ。」
日課を邪魔された和輝は機嫌が悪い。
「雪村さん、南庄一に告られた
らしいぜ。」
が、その言葉を聞いた瞬間飛び起きた。
「は?」
寝起きで視界が悪いが、目を大きく見開いて誠を見た。
「おはよう、びっくりしたか?」
和輝の額が寝ていたせいで赤いのを、指で教えながら楽しそうに誠 は言った。
「いや、べつに。」
額を前髪で隠しながら、気持ちとは反対のことを和輝は言った。
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