2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
毎日四十分かけ、電車と徒歩で学校に来、朝のホームルームが始まるのを机に伏せて寝て待つのが相沢和輝の日課だ。 「おい、和輝聞いたか?」 今日はそんな日課を自転車で十分の水野誠に邪魔をされた。 「なんだよ。」 和輝は顔を伏せたまま無愛想に答えた。 「おいおい、朝から元気ないなあ。」 誠は呆れたような口調で、パンと筆箱しか入っていない鞄を机の横に捨て置き、和輝の前の席に座った。 「誰のせいだよ。」 日課を邪魔された和輝は機嫌が悪い。 「雪村さん、南庄一に告られた らしいぜ。」 が、その言葉を聞いた瞬間飛び起きた。 「は?」 寝起きで視界が悪いが、目を大きく見開いて誠を見た。 「おはよう、びっくりしたか?」 和輝の額が寝ていたせいで赤いのを、指で教えながら楽しそうに誠 は言った。 「いや、べつに。」 額を前髪で隠しながら、気持ちとは反対のことを和輝は言った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!