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ジリッ!
ガチャッ!!
枕元の目覚まし時計が鳴り出すと同時に止める。
時間は早朝4時。
隣の布団に眠る妹に気遣いながら静かに起き出した。
寝る時に着ているヨレヨレのパジャマから、少し穴の空いたジーンズと擦れて薄くなったトレーナーに着替えて洗面所へ向かう。
洗顔と歯磨きを終らせると玄関へ行き、薄汚い帽子を深く被り軍手をはめると外へ出る。
玄関の外には前後に大きなカゴがついたママチャリがあって、いつものように跨がると僕は新聞配達へ向かった。
僕の住んでるこの街は山々に囲まれた桜ヶ丘市。
商店街を中心に、北側には駅や商業施設やビル関係が多い。
東側には主に住宅街、その向こうには田んぼや畑、さらに郊外へ行くと大きな競技場がある。
西側には僕や妹が通っている高校や中学校があって大きな病院なんかもある。
そして南側にはこの街の名前の由来ともなっている500本以上の桜が植えられている丘があり、市民憩いの場所にもなっている公園が作られていて、春の花見シーズンともなると県外からも集まるほどの賑わいを見せる。
その公園のすぐ近くに築30年以上は経っている古いアパートがあり僕と妹はそこに2人で住んでいた。
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