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いつの間にかアパートの近くまで帰っていた。
自分の家なんだから堂々と帰ればいいのに、それが簡単に出来ない僕はどれだけ小心者?
和君のあの図太さや図々しさが羨ましかったりする。
中々入れずにアパートの前をウロチョロしてたら、
「登!? ここで何してるんだ?」
和君に声を掛けられた。
「おじさんが急用で休みになったから帰って来たんだけど…」
理由を答えたけど和君は別に気にするでもなく玄関に行ってドアをノックしていた。
軽くスルーされて寂しかったりする。
しばらくしてドアが開くと麻衣が顔を出した。
「よう!」
「和君早いよ! まだ郁美さんは来てないんだからね?」
麻衣は僕に気づいてないようで和君を叱っている。
そういえば真矢さんの家に行った時も早く来てたんだっけ。
「じゃ迎えに行ってくるぜ。それより登が塾を休んで帰って来てくれたみたいだぜ?」
「ホント!?」
和君は僕の事を気にかけてくれてたようで、おまけに入りやすいようにお膳立てまでしてくれた。
「お兄ちゃん♪ お帰り♪」
麻衣が外まで出てきて笑顔で迎えてくれる。
僕は邪魔じゃないかと不安で一杯だったけどそんな事はなかったみたい。
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