縁の下の力持ち

33/41
前へ
/385ページ
次へ
「麻衣、カセットコンロをテーブルにお願い。真矢さんは盛り付けた野菜を運んで。和君は邪魔だけはしないでね?」 キッチンから皆に叫んだ僕。麻衣と真矢さんからは明るい声が返って来たけど和君は… 「俺だけ扱いが酷くねぇか?」 キッチンへ来てブツブツと文句言っていた。 「そんな事ないよ。和君を弄ると真矢さんが楽しそうに笑ってくれるでしょ? ワザとなんだから気にしないでよ」 和君の顔が崩れてにやけている。 「そういう事ならドンドン弄って構わねぇ♪」 和君に気づかれないように舌をペロッと出した僕。言った事は嘘だけど、度が過ぎなければ和君はいつだって場を盛り上げてくれる存在だ。 「ついでに土鍋をテーブルに運んでくれる?」 「任せろ♪」 あと、ご機嫌な和君は何でもやってくれるから本当に助かっちゃうよ。 テーブルの中央にはカセットコンロに置かれた大きめの土鍋と補充の野菜とつくね団子に余ったキムチ。席の前には綺麗に並べられた茶碗や取り皿やコップやお箸。 うん。食事を楽しむという事に関してはフランス料理にも負けてないよ。 カセットコンロに火を入れて煮込み始める。 土鍋に火が通り蓋から水蒸気が出て辺りに美味しそうな匂いが充満して来た。
/385ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加