縁の下の力持ち

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「何だかワクワクしますね♪」 僕達はたまにやってるからそこまで感じないけど真矢さんははしゃいでいる。 と、ここで鍋奉行の和君の講釈が始まった。食べる事に関してはこだわりがあって結構うるさい。 「ここで蓋を開けちゃならねぇ。火を弱火にして少し蒸らすんだ。そうすると野菜が出汁を吸い込んで美味しくなるんだぜ♪」 真矢さんがウンウンと和君の話しに聞き耳を立ててるから、それに気を良くした和君が続けて話し出した。 「このキムチは蓋を開けてから入れる分だ。煮たら柔らかくなってしまうから後から入れる事でシャキシャキ感も味わえるんだぜ♪」 鍋パーティー初参加の真矢さんは和君の話が新鮮のようで楽しそうに聞いているけど、僕と麻衣は毎回やる度に聞かされて正直飽きている。 「そろそろいいと思うけど食べないで話す?」 僕の言葉に和君が渋々だけど黙り込んだ。 蓋を開けると一気に匂いが広まった。 「美味しそう♪」 今日は麻衣がお世話になった真矢さんのおもてなしだからね。喜んでくれて僕も嬉しいよ。 「それじゃ食べようか」 僕の掛け声で最初に手が伸びたのはやっぱり和君。お玉で一気に掬って取り皿に移した。
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