第一章 剣を持ち主へ

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やはりと思うかも知れないが、町の外へ出れば魔物が出る。幸いなことにこのゴートランド一帯はスライムやコボルト等といった下級の魔物しか確認されていなかった。 だが油断は禁物である。どろどろぶにぶにした粘液状の魔物、スライムは顔に貼り付いて窒息させてくることもあるし、犬のような顔を持つ二足歩行のコボルトは痺れ薬を塗った槍で攻撃を仕掛けてくることもある。冒険を始めたばかりの者にとっては、十分危険であった。 「ところでさあ」 「どうしたブレット?」 「勇者の手がかりみたいなものはあるの? 僕らが鉦と太鼓で探し回って、ほいほい出てくるようなものでも無いだろうし」 「手がかりは、無い。ただ、親父は『見れば分かる。いろんなところを回ってればじきに見つかるんじゃね?』とか抜かしてたがな」 「へー。うおっ!?」 「!!」 突如、二人の歩いていた道のそばの茂みから、魔物が飛び出してきた。
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