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「真っ暗だねー。何も見えないや」
「そうだな。松明をつけよう」
ジェノは松明に火を灯すと、ブレットを連れてトンネルの中に入っていた。
「……陰気なところだ。さっさと抜けてしまいたいな」
「うわっ! す、滑った」
「路面が少し濡れているんだな……こけるなよ」
トンネルの中は意外と広く、松明の明かりが端まで届いていない。時折聴こえる魔物の声と、闇、そして上を流れている河の湿気が相まって非常に不気味な雰囲気を醸し出している。
まるで、巨大な魔物の腹の中を歩いているようだ。
ジェノ達がそんなトンネルを三十歩程進んだところで、
「ギャアアアッ!」
物陰からコボルトが騒々しい叫び声と共に飛びかかってきた。
「うっ!」
突然の襲撃に不意を突かれたブレットは、肩に少し傷を負ってしまった。
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