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ゴートランド。
世界の中心の大陸の南に浮かぶ島国。その南西の端に、名も無き集落があった。
その集落にジェノという名の少年が住んでいた。
「うーん、清々しい朝だ。……ん?」
その日の朝、ベッドから半身を起こしたジェノは普段と違うものを目にした。
いつも通る自分の家。その家の外れそうでなかなか外れないドアの前に、別のところに住んでいるはずの父親が立ち塞がっていたのだ。
ジェノに似て細身の父親は、ジェノが起きるのを見るなりこう切り出した。
「ジェノ。お前に大事な話がある」
「あ? 見合いなら断る」
「違うわ! 俺は親戚とか近所のおばちゃんか!」
目を擦り、寝癖のついた緑色の髪を掻きながらさも面倒臭そうに答えたジェノに、父親は思わず大声を張り上げた。
ジェノは耳を塞ぎ、呆れたように言い返す。
「父親だろ」
「分かってるよ! 最初に見合いって言ったのお前だろ!」
父親はそう言いながら、ジェノをベッドから引きずり出した。
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