第一章 剣を持ち主へ

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ジェノと父親の性格はまったく反対のものであった。だから今まで上手くやって来られたのかもしれない。 さて、ベッドから引きずり出されたジェノは床に打ち付けた箇所をさすりながら立ち上がった。 「で、話って何だ。用が無いなら俺はさっさと仕事がしたいんだけど」 と言っても、ジェノの今日の予定は畑の番ぐらいである。 ジェノはこの集落で畑を借り、野菜を作りながら細々と生活していた。 父親はそんなジェノをまっすぐ見詰め、こう言い放った。 「旅に出るのだ」 「は?」 ジェノは一瞬、訳が分からない、という顔をした。 「村の掟だ」 「嘘だろ」 「嘘だ」 「何で俺が旅に出なくちゃいけないんだよ!」 「ならば今から勝負して、お前が勝てば旅の件は無しにしてやろう」 噛み合っていない。 最初からバトルの展開にしたかったのか、父親の言葉は少し棒読みのようだ。
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