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次の日。
ジェノは隣の町にいた。
知り合いの魔法使いを旅に誘うためである。
野外に魔物の闊歩するこのご時世、一人だけでは心許ない。
「あっ、あんな所にいた。おーい」
「ん?」
雑踏の中からジェノが呼び止めたのは黒いローブに身を包み、怪しげな本を小脇に抱えた銀髪の少年。
この少年こそジェノの幼なじみ、魔法使いのブレットである。
実はジェノと同い年なのだが、ジェノより一回りも背が低い上に童顔で、年下と思われることの方が多いようだ。
「やあ、ブレット。いつにも増して白い顔してんな。また地下室にこもりっきりだっのか?」
「まあ、ちょっとした占いを、ね。でもジェノ、まさかそんな話をしに来たんじゃないでしょ? 何か用?」
「ああ。実は折り入って相談があるんだが……」
ジェノは昨日聞いたことを話した。
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