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「あの…リオさん、キールさん、ありがとうございます」
吹っ飛ばされたジム・クゥエルを起きあがらせ、頭のたんこぶをさすりながらクゥエルが言う。
「礼には及ばないわ。私も楽しめたし♪」
「勘違いするな。ボクは任務を遂行してただけだからな」
「あらぁキーちゃん、もしかしてツンデレぇ?」
リオのサーペントは肩でギャン改をぐいぐいとおちょくる。
「知らん。先に帰還する」
キールのギャン改はバーニアを吹かし、高速で本部へと向かった。
「ふぃ~、一瞬いろんな意味でヒヤヒヤしたが、とりあえず一件落着だな」
ボブは首や肩を大きく回し、息をつく。
「じゃ、あたしも先に戻ってるね~」
アユミのフラッグは飛び上がり、空中で変形し飛び立った。
「なぁクゥエル、知ってたか?」
「?」
ボブが思い出したかのようにクゥエルに問いかける。
「あのフラッグってMS、本当は空中で変形することは想定してないようなんだ」
「え?でも…」
「アイツはやってた、ってことだろ」
クゥエルは首を縦に振る。
「腕前のいいパイロットには、それが可能らしい」
「そ、データによるとそれは『グラハム・スペシャル』って呼ばれていたらしいわ」
リオがさらに付け加えて言う。
「グラハムって人が初めてそれを成功させたんだって。あの子、きっと『フラッグファイター』の素質があったのかもね」
「ぐらはむ?ふぁいたあ?」
クゥエルは途中で訳が分からなくなり、しきりに首を傾げる。
「そんなに深く考えなくても大丈夫よ。さ、私たちも帰りましょうか。クゥちゃん、あとで一緒にお風呂入りましょ」
「え?えーっ!?」
サーペントがジム・クゥエルの手をとり、引っ張っていった。
「やれやれ、女性陣は仲好しだな」
一人残されたボブも本部へ向かって歩き出す。
「あのツンツン坊やも心を開いてくれればな…」
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