第3話~その名はクアドリガ~

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数分後。 クゥエルの悲鳴(?)を聞いて駆けつけたアユミが見た光景は… 脱衣場の片隅で膝を抱えて半泣きのクゥエルと、ほっこりしているリオの姿。 「…なにしてんの?」 「ちょっと私が調子にのっていじくり回しちゃったの」 (どうしてこうなった…) とりあえずアユミはクゥエルに寄り添う。 「おーよしよし、もう大丈夫」 そしてクゥエルの頭を撫でる。 「そういや姐さん、例の人たち来てるよ」 「あぁ、あの人たちね」 「あの人たち?」 クゥエルは顔を上げる。 「そ、『クアドリガ』っていう団体さん。とりあえず着替えて外に来なよ」 「う…うん」 リオとクゥエルは着替え、外にでる。 『クアドリガ』…各地にはびこるならず者集団からMSを強奪し、自らの戦力にしたり高値で売りさばいたりする団体である。 立場上ならず者と同じ括りだが、彼らはあくまでもならず者相手に強奪するだけで街や住人に危害を加えない。 それに、MSを支給できることもあって、エスペランサとは友好関係にあるようだ。 「……それより、コイツをどう思う?」 外に出ると、ボブと見知らぬ男性がなにやら話していた。 「おっ、来たかお前ら」 「うわあ、おっきな空母だね~」 クゥエルは施設の横に着陸している大きな空母に目をやる。 『アウドムラ』。エスペランサに配備されているガウよりも大型の空母だ。 「ん?お嬢さん、アウドムラを見るのは初めてかい?」 見知らぬ男性はクゥエルに歩み寄る。 「あ、はい。えっと…」 「あぁ、俺はカーネル・アンダーソンだ。なりふり構わずな」 「はい、私は…クゥエルって呼んでください」 二人は軽く握手をする。『カーネル・アンダーソン(30)』は、クアドリガのリーダー格の男で、ボブとは以前から面識がある。 「で、今日は何を売りに来たのかな?」 アユミは横からカーネルに話しかける。 「おう、まずはコイツからだ」
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