第3話~その名はクアドリガ~

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カーネルの指先にあったのは、ヘルメット状の頭部で背中にスコップやピッケルを背負っているMSだった。 「…なにこれ」 思わずアユミは言葉を失う。 「デスペラードだ」 「ふざけてるでしょ!」 「まぁまぁ、話を最後まで聞きたまえ」 カーネルは咳払いをして説明を始める。 「この機体の魅力は、水素燃料エンジンで動くことだ。だから環境にやさしい。そしてもう一つ…たしかに戦闘用じゃあないが、これがあれば復興作業なんかもそこらの重機の数倍は働いてくれるぞ?」 「ふむ、そうだな…」 傍らでボブが納得したように頷く。 「よし、買った。復興支援班に送っといてくれ」 「毎度あり!」 こうして『CMSー328 デスペラード』は、売りつけられることを強いられ…いや、エスペランサに買い取られた。 「ちょっとおっさん!こんなん買って大丈夫なの!?」 アユミがぶーぶーと文句を言う。 「あぁ。見た目はあれだが、あれはきっと復興作業に役立つに違いない」 「そういえば、戦闘用はありませんの?」 アウドムラに夢中なクゥエルを眺めていたリオが、急に話を切り出す。 「その言葉、待ってました!今日は掘り出し物があるんでね」 カーネルが指を鳴らすと、アウドムラのハッチが開く。 驚き離れるクゥエル。 中には、見たことのない大柄のMSが立っていた。
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