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一方、上空を飛ぶ一機のMS。
一見すると戦闘機のようにも見える。
「ふい~、やっぱり空は気持ちいいねぇ」
可変式MS『SVMSー01 ユニオンフラッグ』を駆る、この少女の名は『アユミ・カザハラ(18)』。エスペランサ治安維持班の一員だ。
周囲のパトロールがてらフライトを楽しむという、マイペースな性格である。
「おや?あれは…」
アユミが地面を見ると、ネイビーブルーのMSが多数のMSに囲まれているのが見えた。
「ちょっとこれはマズいんじゃない!?」
アユミは無線をつなぎ、治安維持班の本部に連絡を入れる。
「こちらアユミ・カザハラ!見たことないMSが、ならず者らしきドートレス群に囲まれてる!至急援護を求む!」
無線を切り、そのMS付近へと降下した。
地上ではすでに男共の手によってジム・クゥエルから少女が引きずり降ろされようとしていた。
「さぁ観念しなァお嬢ちゃん」
「!」
脚を踏ん張ってみても、掴まれた腕を振り回してみても、力及ばなかった。
「どれ、まずは味見といくか…」
少女の首筋を男の舌が蛭のように這い回る。
「ぃゃぁ…」
少女が恐怖と不快さにより声を漏らす。
「キェアアアシャベッタァァァァ!」
「色っぽい声出してくれるじゃねぇか!」
「ますます興奮してきたぜェ!」
さらに男共は湧く。
いよいよ男共が少女に寄ってたかろうとしたその時、
「お楽しみの所悪いねぇ!」
「なにぃ?」
上空から声が聞こえた。
見上げると、何やら飛行する影が見える。
「鳥か?」
男共は目をこらす。
よく見ると戦闘機のようだ。
「飛行機か?」
そしてその機体が付近に降下し、変形して着地する。
「モビルスーツだぁ!」
少女を引きずり降ろそうとした男が、空から舞い降りた機体に夢中になっている隙に、少女は渾身の力で男を押した。
「お!おわああぁぁぁ…」
MSのコクピット辺りから落下したら、怪我どころじゃ済まないだろう。
(当然の報いよ!)
少女はふんと鼻で笑い、ハッチを閉じた。
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