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「お嬢さん、『コルベットブースター』の調子はどうだい?」
カーネルが下からクゥエルに通信を送る。
コルベットブースターは飛行ユニットをパラグライダーのように扱うもので、これを使えば推進力の低いMSでも重量の許す限り飛行が可能になる。
「さっぱりわかりません!」
「重心をうまく傾けて上昇下降、旋回するんだ」
「なるほど、わかりません!」
「やれやれ…」
クゥエルは一心不乱に大空を舞う。悪い意味で。
アユミはクゥエルが攪乱した敵をすかさず叩く。
「よし、こっちもやりやすくなった!」
アユミはさらにペースを上げ、よそ見しているトムリアットを撃つ。
「んー、なんだか敵が少なくなったような…」
アユミの言ったことに間違いはない。
実質、カーネルが最初に放ったAPFSDSに気を取られた敵が一挙に下降していったわけで。
「…来るわ」
一方、地上ではザウート、ザク・キャノン、ティエレンが待ち構えていた。多数のトムリアットが下降してくる。
「エイラ、可能な限り弾幕を…」
「~♪」
「聞いてねぇな」
ラルフがエイラに指示を出すも、エイラは大音量で音楽を聞いているため、まったく聞こえてなかった。
「ったく、めんどくせぇな…拡散弾、撃つぞ」
ザク・キャノンが撃った弾は空中で細かく拡散し、トムリアットに刺さっていく。
「ジル、あとは頼む」
「…任せて」
ティエレンは頭部を覆うように装着されたキャノン砲で、バランスを崩したトムリアットに次々と弾を当てていく。
しかし致命傷は与えない。無駄なく敵の戦力を奪い、MSへの損害を最小限に抑えて回収する…それが彼女のやり方だ。
「あとはボクが大掃除ぃ~♪」
エイラのザウートがタンクモードに変形し、ジルが撃ち残した敵を追いかけ二連装キャノンを撃ち込む。
「…敵機へのダメージは最小限に」
「~♪」
「…聞いてないわね」
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