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(結果おーらい?)
少女が棒立ちでそれを見守っていると、フラッグがジム・クゥエルの肩に手をかける。
「黒い機体のパイロット、聞こえる?」
「あ、はい…」
これは所謂『お肌の触れ合い通信』というもので、MSの装甲に電波を伝える接触回線だ。
「やるねキミ!名前は?あぁ、あたしアユミ・カザハラ!」
「……覚えてないんです」
「へ?」
「私、記憶が無いんです。このMSに乗る前の記憶が…」
アユミはあちゃーっと言い、話題を変える。
「な、何で襲われてたか分かんないけど、大丈夫!…あたしらはキミの敵じゃないから」
「あたし『ら』…?」
少女は疑問を持ったが、その疑問は一瞬で消え去った。
「伏せろお前ら!」
「!?」
2人は驚き、さっと体制を低くした。
頭上を通り過ぎる一発の弾頭。それは敵の群れに着弾し、辺りは炎に包まれた。
「あ、あちぃ!火が、火がァー!」
「どうよ、俺の焼夷弾の味は」
敵のドートレス群は一気にパニックに陥る。そして熱さに耐えきれず、ならず者共はMSを降りだした。
「くっそ、覚えてやがれ!ボスに言いつけてやるぅ~!」
ならず者はさっさと逃げていき、また辺りは静まり返る。
「ふぃ~、一件落着か?」
フラッグとジム・クゥエルが顔を上げると、バズーカを担いだMS『MSー05B ザク』が立っていた。
「…遅かったな、おっさん」
アユミがムスッとしてザクのパイロットに話しかける。
「しかたないだろ、ザクはお前さんのフラッグより脚遅ぇんだからよ」
「しかも!あたしが援護要請したのにおっさん一人!?」
「まぁ、そう熱くなんな。だいたいこの位の奴らお前一人でも十分だったろ」
「むぅ…」
怒るアユミを黙らせて、『おっさん』はザクのモノアイをジム・クゥエルに向ける。
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