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『C辞書貸してー』
「えらい唐突だな。ほら……」
『うへっ、重いー。何で紙の辞書なのー?』
「何でって……それしか持ってないから」
『うぇえ?! マジで!? どこのアナログ人間だよー。辞書っていったら電子辞書でしょー』
「持ってないものは貸せない」
『ごもっともです。でも買おうとは思わなかったの?』
「電子辞書はつまらない」
『そんな風に言う人初めて見たよ』
「自分でもそうだろうと思う。でも紙の辞書の方が面白い」
『どこがー? めんどくさいだけじゃんよー』
「確かに電子辞書と比べたら面倒だろうが、紙の辞書は新しい発見がある」
『そーなの?』
「あぁ。小学生の時、学校の宿題で語句の意味を調べてる内に辞書の方に夢中になって二、三時間経ってた事があった(※作者の実話)」
『長ッ! そんなに辞書眺めてたの?!』
「面白くてつい……課題の方はちゃんと終わらせたけどな」
『はー、スゴいねぇ……』
「そうか? 今でもたまに読んだりするぞ?」
『読むの? 辞書を? マジで?』
「今の結構イラッときた」
『謝るから無表情で怒らないで、ごめんなさい。でも、マジで読むの? 最初っから最後まで?』
「いや、そんなしっかりとは読まない。適当にページ捲って適当に読んでるだけだ」
『へー』
「電子辞書と違って紙の辞書は好きな所から読めるからな。初めて見る語句とかあって結構面白い」
『はー、勉強熱心だねぇ』
「ただの暇潰しだ」
『暇潰しで辞書読む人はそうそういないよ。スゴいねぇ』
「…………」
『何、照れてんの? カ~ワイイ~』
「…………」
ゴンッ
『う゛にゃッ!!』
「鉄拳制裁にも最適だな」
『殴ることないじゃんよー、照れ隠しが痛いー……ツンギレ?』
「次は角でいくか……?」
『全力でごめんなさい。勘弁して下さい』
「まったく……」
FIN
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