『わたし』だとか

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諸声(もろごえ)を挙げ喚起し、多勢で一つのものを打ち倒そうとしている時にも、孤独はぼくのなかで澱みなく居座り続けた。 恐怖は狂信的熱量で浄化されても、孤独はぼくの後ろで鎌首をもたげていた。 忘却も孤独に勝つことが出来ず、時には孤独に誘惑されてぼくの視界を歪つにする。 だけれども孤独が背を押すことだってある。 孤独だからきみを渇望する。 愛おしさにきみを求める。 そして今日もまた孤独に負けながら、ぼくは生きていけるんだ。
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